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「―――……んぁ」
学校のチャイムの音で目が覚めた。
「なーごみー。よく寝てたねぇ」
僕の机の隣に立った女の子がくすりと笑う。髪を高いところで小さく結った、垂れ目の可愛い子。
美少女という訳では無いが、愛嬌があって好感が持てるような―――
ばしっ
「いたっ!」
「わたしが話しかけてるのに、考え事に浸るとは……良いご身分ねっ」
偉そうに言っているが、舌ったらず気味な口調と幼い声が迫力を打ち消している。
「ごめん、ごめん」
「もぉ~っ」
普通の女の子なら
「君のことを考えていたよ」
とか言えば問題無いのだろうが、彼女に言うと顔を真っ赤にして叩いてくるため、謝るしかない。
でも、それくらいで怒る程、彼女の器も小さく無いはず―――
「和水?どしたの?大丈夫っ?」
また考え事をしてたら、今度は心配されてしまった。
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