75人が本棚に入れています
本棚に追加
お姉さんと別れてから
半年がたった梅雨の午後。
長崎は今日も雨
なんて歌があるけど
どしゃぶりの雨が降っていた。
喘息の発作で学校を
休んでいた僕は
部屋の窓から下校する
中学生たちを見ていた。
「懐かしいなー」
お姉さんとのことを
思い出していた。
雨が降った日に
僕は彼女を思い出す。
僕は小さい頃から雨が降ると
不快な寂しさや
言いようのない不安感に
襲われるという
変わった弱点があった。
(特にその時のお風呂が嫌い。)
そんなとき彼女は
そばにきて腕を握り揺すって
「りゅうくん不安??」
なんて心配して
抱きしめてくれていた。
少しずつ思い出に
変えていこうとしていたとき
電話がけたたましくなった。
♪♪♪!!!!
誰だ?知らない番号だ。
まぁ出てみようかな
「もしもし」
「りゅうくん?」
「ん!?」
「りゅうくん雨大丈夫?」
お姉さんだった。
半年以上連絡なんか
してなかったのに…
「ゆき?」
「へへ~久しぶりだね」
「どしたん?いきなりやね?」
「いきなり私が電話
かけちゃダメなの~?」
「ダメとか言ってないやん!!」
「あ~!?やっぱり
りゅうくんは雨には弱い」
「え??」
「りゅうくんの
寂しいときの声。」
寂しい声??
「どゆこと??」
「りゅうくんは
感情で声が変わるの」
「そっか」
「ねぇ…今日は
二人の記念日だね」
「別れてなかったらね」
「りゅうくん会いにいくね」
「あいよ」
…ん?会いにくる??
ちょっと待て落ち着け自分。
会うのか?
いや…会いたい。
会いたくて会いたくてたまらない。
久しぶりの再会が
二人の新しい記念になった。
最初のコメントを投稿しよう!