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お姉さんと別れてから 半年がたった梅雨の午後。   長崎は今日も雨   なんて歌があるけど どしゃぶりの雨が降っていた。   喘息の発作で学校を 休んでいた僕は 部屋の窓から下校する 中学生たちを見ていた。   「懐かしいなー」   お姉さんとのことを 思い出していた。   雨が降った日に 僕は彼女を思い出す。   僕は小さい頃から雨が降ると 不快な寂しさや 言いようのない不安感に 襲われるという 変わった弱点があった。 (特にその時のお風呂が嫌い。)   そんなとき彼女は そばにきて腕を握り揺すって 「りゅうくん不安??」 なんて心配して 抱きしめてくれていた。   少しずつ思い出に 変えていこうとしていたとき 電話がけたたましくなった。   ♪♪♪!!!! 誰だ?知らない番号だ。 まぁ出てみようかな 「もしもし」 「りゅうくん?」 「ん!?」 「りゅうくん雨大丈夫?」 お姉さんだった。 半年以上連絡なんか してなかったのに… 「ゆき?」 「へへ~久しぶりだね」 「どしたん?いきなりやね?」 「いきなり私が電話  かけちゃダメなの~?」 「ダメとか言ってないやん!!」 「あ~!?やっぱり  りゅうくんは雨には弱い」 「え??」 「りゅうくんの  寂しいときの声。」 寂しい声?? 「どゆこと??」 「りゅうくんは  感情で声が変わるの」 「そっか」 「ねぇ…今日は  二人の記念日だね」 「別れてなかったらね」 「りゅうくん会いにいくね」 「あいよ」 …ん?会いにくる?? ちょっと待て落ち着け自分。 会うのか? いや…会いたい。 会いたくて会いたくてたまらない。    久しぶりの再会が 二人の新しい記念になった。
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