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今日も俺の左側が重い。
彼女は何を考えているんだろうか。
視線は窓の外。
何を捉えているんだろうか。
扉の開く音。
先生が来た。
「おら、お前ら座れっつーに」
「アサヒナケイゴ」
1-A担任。
みんなが席に座り始める。
そして聞こえるのは女子達の声。
「ケイゴちゃんおはー」
「おう。出席とるぞ」
「今日も、かっこいいね!」
「……」
「ケイゴちゃんかーわいー!!」
俺もその中に入る。
「……アカサカユキタ」
「おい、無視かよう俺はこんなにケイゴちゃんのこと好きなのに!」
「まじかよアキヒトー!!」
「ええー!」
クラス全体が笑い出す。
俺の左側以外。
ケイゴちゃんは、生徒に人気がある。
若いしかっこいいし。
厳しくないし。
「……エリヤサチ」
そして何事にも動じない。
「……………キタデマリヤ」
ケイゴちゃんも彼女は苦手らしい。
「…居るな。クギミヤナギ」
相変わらず視線は窓の外。
なんだ窓の外にヤマトでもいんのか。
宇宙戦艦。
俺も彼女から窓の外に視線を移す。
あぶない。
今日は雨が降りそうな灰色。
こんな世界に良く似合う灰色。
そして名前が呼ばれる。
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