第①章

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その夏の雨の日 転校してきた相田くん‥もとい凪 たまたま私が座ってた席が席替えでは人気のたかい窓側後ろ席で、たまたま先生が私の横の机をあてがった‥ただそれだけの話 私は委員長でもなければ、こんな馬鹿で有名な学校の一生徒 いやね、正直さ、思ったの こんな人に女がいない訳ないって―― 「ねぇ、教科書見せてくんない?」 「え?」 「授業はじまったし」 いけね。 私が一人妄想してる間にとっくに授業はじまってた 凪が私の側に寄る めくられるページ、ふわっと香水の匂いがした あ~ これって私と一緒のだ…って思った時 「おたく、名前なんだっけ?」 かすれた声がまた素敵で 「倉田です」 「したの名前は?」 「愛です」 「ふ~ん、昼休み校内案内してよ」 「え?あ、うん」 やった。二人きりのチャンス 心の中でガッツポーズした 授業なんて全然きいてなかった 彼の口元とか、本をめくる指先とか、何もかもが綺麗で それと、私と同じ事を考えている数人の女子よりメールの嵐 『彼女いるかきけ』とか、『どこ住み?』とか。 できればききたいわよ でもね、さっきから先生がこっち見てるのよ なんて、メールうってたら凪がくすくす笑った どうやら、メールが見えたみたいで… 彼はツボにはまってしまったようで細い指先を口元にあてていた 私ってばかなり恥ずかしいやつ 「愛ちゃん。昼休みに案内してくれたら教えてあげるよ」 授業のチャイムと同時に凪がそう云った 昼休み――。 約束どおり彼はいろいろ教えてくれた 本当は高三だという事 いろいろあって転校した事 そして、 彼女はね…
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