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凪が転校してきてから何日かたって夏休みをむかえた
人の噂話とはとどまる事をしらない
話はどこからくるのかどんどん溢れてくるのに、そんな噂などどこふく風
凪はいつも涼しい顔で外をながめていた
私はといえば彼にお気に入りの席を奪われたものの、初日の日以来なんの会話もなかった
噂―――
本当かな?
そうは思うけど確かめる勇気などなく
でも気になる存在ではあったわけで
そんな中、むかえた夏休み
馬鹿学校でも赤点とらない程度にがんばったテスト
担任にバイト許可をもらった
国の施設の公共宿ってやつ
ようは仲居さん
悠が誘ってくれたんだけど、将来、調理関係の仕事をめざしていた悠は調理場
そして
あついあつい夏休み
「今日から八月いっぱいアルバイトの倉田さんです。え~もう一人、私の息子がくるのでよろしくお願いします」
主任らしき男性のあいさつ
第一印象は大切。ここぞとばかりのスマイルをふりまいた
「倉田愛です。よろしくお願いします」
朝礼もそこそこ、すぐに先程の主任さんが仕事場の説明にはいった
ネームプレートには相田と書いてある。
相田なんてめずらしくない
けど、あの日以来話もしなかった凪の顔が思い出された
「で、一通りの流れはいいですか?」
主任さんがやさしくスマイル
あれれ?
この笑顔って
私自慢じゃないけどいい男は忘れないのに…
って思った時―――
「親父、わるい。遅れた」
髪の毛、黒いじゃん?
すごく深い漆黒の目の色じゃん?
「お前、隣の席の…」
なんて、偶然
でも、現実はこんなもん
名前さえ覚えられてませんでした
私の夏休みが始まる
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