空とはつき合えない。

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  「そうだけど……。 でもそれは、今は無理ってことでしょ? アズが陸さんを好きなうちは、やっぱりどうしてもあきらめられない。 好きなんだもん! 苦しくて苦しくて息がつまりそうなのっ。 すぐにじゃなくていいから! アズ、ずっと待ってるから!」 演技なんかじゃなく、アズは本当に苦しそうだ。 すがるようなまなざしで陸を見つめてる。 (そんな顔、オレ見たことないよ……?) もう、僕のことなんか眼中にないんだね。 「アズ、いつから陸のこと……?」 乾いた喉から、やっとそれだけを押し出した。 「ソラの家に遊び行って、初めて陸さん見たとき。 だから……。 6月の始めくらいかな」 アズは、乱れた長い黒髪を直しながら応えた。 6月──。 じゃあ、僕がつき合ってるって思ってた月日の半分は、アズの心が陸に向いてたってこと? 陸は確か『好きになれないって言ったはず』って言ったよね。 それって、ふたりが僕の知らないところで連絡取り合ってたっていう証拠じゃないか。     ・
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