男と獏

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何で、そんなに悲しそうな顔なんだよ。 記憶が消えるのは、お前じゃないだろ…? 気付いたら、男の頬に手を置いていた。 「おい…?」 「…悪夢喰われたら、名前も忘れるのか?」 顔を近づけて問う。 男は目を合わせない。 泣きたいのは、俺の方だ馬鹿やろう。 「おい、お前。 お前が泣きそうな理由なんてどうでも良い。 けど、さっきから、お前を泣かせるな。ってガリガリ引っ掻いてくる奴が居てなぁ…」 訳が分からないって顔をするな。 俺が情け無くなるだろ。 全く… しょうがないから…
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