臆病者を卒業する日

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「はぁ…」 斗真は呆れきった顔をして深いため息をつく。 「香奈がこんなに頭悪いと思わなかった。」 「なっ!?」 「よく考えろよ。次の日俺が会う約束してたのは誰だ?」 え? お盆休み2日目に会う約束してたのは…。 考え出して目が飛び出るかと思った。 「わ…たし!?」 「ようやく気づいたか。」 いや。 気づいたけど…さっぱり話しが見えない。 婚約者をお母さんに合わせる日に私と約束を…。 え…どういう事? まだ悩んでいる私に斗真が困ったように笑った。 「お前既にボケてきてんのか?俺の婚約者はお前だろ?」 「……は?」 「は?じゃないだろ。」 いやいやいや!! なんだこれ。 何。 何のドッキリ。 どういう事。 もう脳が溶けてきそうだ。 婚約者が私? だって…だって斗真は社長の娘さんと…。 そうだよ!! 社長の娘と婚約したって自分で後輩に言ってたんじゃん。 「婚約者は社長の娘でしょ?…もうからかわないで。」 「…お前さては社内報ちゃんと読んでないな?」 「社内報…?」
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