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「お父さん…?」
「……」
斗真は急に黙り込んで、窓の外を見つめる。
私は静かにその隣に立ち、きらびやかな夜景を見下ろした。
「俺の父さん、結城海斗っていうんだ。」
結城海斗?
なんかどっかで聞いたような?
結城海斗結城海斗…結城…!!
「それって…」
「そう。あの超金持ち社長の結城海斗。」
そう言う斗真の顔がいつもとは違う。
真っ直ぐ前を見つめ、何かに挑むような強い瞳が光っていた。
「今は父さんに任されてる身だけど…このホテルをもっとでっかくして、世界中にホテル建てて…父さんを超えるのが目標なんだ。」
いつも以上に真剣なその姿に、胸が高鳴る。
だけど同時に不安にも思った。
斗真のお父さんが日本一のIT企業の社長だったなんて。
しかも斗真の夢はそのお父さんを超える事。
私に…それを支えられるの?
それ以前に私みたいな一般家庭の女、婚約者として認められるのだろうか?
「…香奈。俺今まで誰にも家の事言えなかった。父さんがあまりにも偉大過ぎてさ…コンプレックスっていうのかな…。だけど、香奈には知って欲しかったんだ。」
「え…」
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