彼の正体~好きになるんじゃなかった~

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その声は見事なまでに震えたけど、斗真は嬉しそうに微笑み私を抱きしめた。 「…たくさん辛い思いをさせた。」 「良いの。その分幸せにしてもらうから。」 「ははっ任せろ。…明日、俺の両親に会ってくれるか?」 ドキ。 あ…明日? 「大丈夫。両親はすごく喜んでる。遊び人の息子がようやく本当の愛を見つけた、ってな。香奈にも会いたい会いたいってうるさいくらいだ。」 「ふふ。…じゃあ、私は斗真のお母さんとお揃いのワンピースを着て挨拶するわ。」 「それは母さんが喜んで手に負えなくなるな。」 わざとらしく頭を抱える斗真に微笑みを返す。 会話は途切れ、斗真の熱い瞳が私の唇を捕らえた。 「結婚式はするけど…先に誓いのキスしとく?」 「あははっ!…賛成…。」 どちらからともなく唇が触れ合い。 濃厚なキスで吐息を塞ぐ。 「…」 唇が離れると、斗真は難しい顔をした。 「…何?」 「……初夜も済ませとく?」 「クスクス。大賛成。」 答えた途端に抱き上げられベッドに沈められる。 何度も体を重ねたはずなのに、まるで初めての日みたくドキドキした。
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