乱反射の中に潜む涙

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数年前――俺達が小学四年だった頃。 ひまわりが好きだという咲に、目の前で見れるひまわりをプレゼントしたくて、俺は看護婦さんとともに、咲の病室の窓から見えるすぐそこに『ひまわりの庭』とかいうネーミングセンスのまるでない花畑を作った。 まぁあの頃は若かったってこともあって…… 「でもさ、このひまわりでかくなりすぎ。本当にこんなの好き?」 確かに花は綺麗な色をしているが、でかすぎるそれに、俺は少し眉を寄せた。 そんな俺の表情に、咲はケタケタと笑い出す。 「晴希は分かってないなぁ。乙女心ってものがっ」  咲から放たれた言葉に俺は少し眉を顰める。 「乙女心とか別にわかんなくていいし……」 そして呟くように出た声。
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