乱反射の中に潜む涙

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それだけこの時間が自分にとって大事で大切だということだと、思う。 咲き誇っていたひまわりも、日のかげりに合わせてその花を閉じ始める。 「そろそろ帰るな」 それがいつもと変わらない俺が病室から帰るのを切り出す言葉。 そしてそれに答えるように咲が小さく手を振る。――はずだった。 椅子の支柱に立てかけておいた通学鞄を手に取り、俺がいつものそれを言った時。 咲は微笑んで言ったんだ。 「私、死ぬのは怖くないよ」 なんて。
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