乱反射の中に潜む涙

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なぁ、俺は怖いよ。 君がここにいなくなる日が。 死ぬほど怖くなる時がある。 想像も出来ない程、怖くなる…… なのに君は、笑って そんなことを言うのは何故――? 「……っふざけんなよっ!?何が怖くない?なぁ、何が怖くないんだよ!? それがっ……そんなこと言うのが、かっこいいとか思ってんの!?」 毎日穏やかだった真っ白なその世界が、俺にとって酷く歪んだ色に見えた。 俺をあざ笑うような空間のような。 カッという音を立てて頭に血が上る感覚。 冷静なんかでは、いられない…… 「そう言って……笑うな、よ……笑うなっ!怖いんだろ?怖いなら、泣けばいいだろ!?」 捲くし立てるようにそう言って、咲の顔は多分見なかった。 ぴりぴりしたこの雰囲気が咲に届けばいいのだ。 そうしたら君は謝るだろ? 冗談言ってごめんね。って。 それでいいんだ。 そうじゃなきゃ…… 「なぁっ!咲っ―――!!!」
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