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「……っくそっ!」
俺はガタンと椅子をひっくり返して立ち上がり、そのまま病室を飛び出した。
扉を開けた目の前に、いつも咲の面倒を見てくれていた看護婦の皆実さんがいて、視線が一瞬だけぶつかったけれど、俺はかまわず走り抜けた。
「晴希君っ!」
でも、そんな俺を皆実さんは追いかけてきたらしく、息を切らして俺の名前を呼んで走っている。
その姿にはっと、大人気ない行動をとった自分に気づいた。
走ることを止めてその場に立ち止まり、彼女が自分のところまで来るのを待った。
「……すみません、俺。廊下……走ってしまって」
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