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そう言って皆実さんは俺の手にそれを握らせた。
何も言えずに視線だけを合わせている俺に、少しだけ微笑むと、ゆっくりと元来た廊下を歩いて去っていく。
その姿さえ俺はじっと見つめることしか出来なかった。
……俺はまだ、どこかイライラしてたのかもしれない。
封筒を片手にその場にただ立ち尽くしていた。
だってそうだろう?
はっきり言って、少し裏切られた気分。どうしていきなり、今日、今。
“死ぬ”なんて言葉をサラリと言うんだ。
俺は 苦しいくらい毎日、それを考えないようにしていたっていうのに……
まるで他人ごとのように、そう言って。
片手に握られたソレをチラリと盗み見た。
「…………」
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