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それなのに……腹が立ってるのに……
「くそっ……」
俺は君からの手紙に少し嬉しさを感じていた。
そんな俺。
現実がわからなくなる程
今 がわからなくなる程
それぐらい君を好きでいた
十六歳の 夏――――
俺は外の風に当たろうと、朱色の空が見える病院の入り口へとやってきた。
朱色に騙された。
あんなにも鮮やかだったから、なんとなく暑さはマシだろうなんて思ってた……なのに暑すぎる。
けど、移動するのも今更で、三段しかない入り口の目の前にある階段に腰を下ろした。
夏の匂いが やけに鼻につく。
封筒を開けてみて、中から出てきたのは折り畳まれた これまた白い紙が二枚。
封筒を隣に置いて、それをゆっくりと開いてみた。
その瞬間から、夏の暑さは感じなくなった。
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