例えばそれが我が侭でも

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俺は深々と頭を下げて声を絞りだした。 「……はぃ……」 出来るだけ冷静にみせたはずの、ワンテンポ置いてのそれは、思った以上に震えた声で、少しだけ情けなくなった。 ……本当なら ここは他人の出る幕じゃないっていうことは、こんな俺でさえ重々承知済みだ。 けれど深い礼に、精一杯その誠意を見せた。 おじさんとおばさんの前では、いつでもカッコいい自分でいたかったから。  
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