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高校二年、十六歳の夏。
もうすぐ十七歳になる、十六最後で
俺と君の過ごした
暑い夏、七月の半ば――
「あーぁ……今年はやらなくちゃいけないことがあったのになぁ」
ベッドの上で上半身を起こして窓の外を見ながら咲は呟いた。
開け放たれた窓からは、近くにある海から漂ってきた潮の匂いと、生ぬるい風。
「何がしたかったんだよ」
ベッドのすぐ隣にある丸椅子に腰掛けて俺がそう聞けば、くるりと顔をこっちに向けて、指折りしたいということを言い出す。
「花火、プール、それに山登りにー……あっあと宮さん家のスイカ食べ放題にも挑戦!」
そんな咲の真剣な表情に俺は溜まらず笑ってしまう。
だってそれ……
「毎年一緒じゃん。やりたいこと」
笑いを隠さずそう言う俺に、咲はえへへーと笑いながら再び、身体をベッドへと倒した。
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