乱反射の中に潜む涙

3/14
前へ
/108ページ
次へ
高校二年、十六歳の夏。 もうすぐ十七歳になる、十六最後で 俺と君の過ごした 暑い夏、七月の半ば―― 「あーぁ……今年はやらなくちゃいけないことがあったのになぁ」 ベッドの上で上半身を起こして窓の外を見ながら咲は呟いた。 開け放たれた窓からは、近くにある海から漂ってきた潮の匂いと、生ぬるい風。 「何がしたかったんだよ」 ベッドのすぐ隣にある丸椅子に腰掛けて俺がそう聞けば、くるりと顔をこっちに向けて、指折りしたいということを言い出す。 「花火、プール、それに山登りにー……あっあと宮さん家のスイカ食べ放題にも挑戦!」 そんな咲の真剣な表情に俺は溜まらず笑ってしまう。 だってそれ…… 「毎年一緒じゃん。やりたいこと」 笑いを隠さずそう言う俺に、咲はえへへーと笑いながら再び、身体をベッドへと倒した。
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加