乱反射の中に潜む涙

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包まれるように寝転がった真っ白なベッド。 そして真っ白な部屋。 白しかないその部屋は、君のいる場所であって、なのに君の家じゃない。 それなのにもう、君は何年この部屋にいるんだっけ。 全く似合わない細いチューブを幾つもつけて。 それでも君は笑っている。 「……今年の夏は、去年より暑い気がするなぁ」 「そうか?いつもと変わりないと思うけど」 そんな俺の返事に、咲は再び寝転んだまま俺の真反対に位置する窓へと視線を向けた。 それにつられて俺も視線を咲から目の前の窓の外へと向ける。 窓の小さな枠の中――上部に青い空、下部いっぱいには黄色い花。 「違うよー。だってほら、ひまわりが去年よりも元気に咲いてるもん」 白い手を花の方に突き出して『ね?』なんていうそれは、17歳というよりも幼く感じさせる。 「お前はひまわり博士かよ。つーか本当ひまわり好きだよな」
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