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「………」
「とりあえず、一旦ここから出よう?」
こういう時に限って勘が鋭い類は、ちぃの方に視線を向ける。
その時、ちぃが少しだけビクッと反応していたことを特記しておく。
そして、あたしの手を引いてその場に立たせると、そのままリビングの外へと出ようとする。
「ルーイ、頼んだぞ~」
「お2人さん、ごゆっくり~♪」
若干2名の馬鹿が変な茶々を入れてくる。
その後の類の返答に、あたしまでもがびっくりさせられるとは、この時は思ってもいなかった。
「遠慮なくチュ~とかギュ~とかしていいからね~♪」
「男なら、一発かましてやれ!」
こいつら……
あたしがキレそうになった、その時……
「そこの外野、五月蝿いよ」
「「「………!?」」」
いつになく冷たい言葉と視線をちぃと宮本君に浴びせる。
まるで有無を言わせない言葉に、言われた2人も……そして、あたしまでもが凍り付いた。
1年前の機械みたいに冷たいって噂は、これのことだったの?
うん、確かに……普段の温厚な類からは想像もつかない姿だった。
「行くよ、未琴」
そして、あたしは類に引っ張られるようにそのままリビングを出た。
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