221人が本棚に入れています
本棚に追加
凍り付いた2人を置き去りにしたままリビングを出ると、無言のまま廊下を進んでいく。
ピリピリとした空気が流れて、何だか気まずく感じる。
やがて連れて来られた場所は、何故か脱衣所であった。
「類?」
「ここなら誰にも邪魔されないでしょ?」
あたしに向き直った類は、先程までの冷たさは消え、いつもの優しい彼に戻っていた。
ここまで心配を掛けてしまった類に、あたしは申し訳ない気持ちで一杯になっていた。
「ごめんなさい……」
「何で未琴が謝るの?」
突然の謝罪に類はびっくりした表情を見せている。
「あたしが意地を張ったばかりに、類にまで迷惑掛けちゃったし」
「未琴の言いたいことは何となく分かったよ。葛城さんが何て言ったかは知らないけど、彼女は少し言い過ぎなところがあるからね」
いや、勝手に凹んでたあたしも悪いんだけどね。
ちぃは言い過ぎっていうか……余計な茶々を入れるから、あたしが反発しちゃうんだよ。
これ以上、類に心配掛けたくないから、いい加減凹むのはやめにしよう。
「類、ありがとね」
「えっ……僕は何もしてないよ?」
「さっき、あたしの為に怒ってくれたんでしょ?」
.
最初のコメントを投稿しよう!