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苺ちゃんに促されるように車に乗り込むと、運転席の後ろには類の姿があった。
姉弟だから当然の流れか。
「おはよ、類っ」
「おはよう、未琴」
挨拶をしてみると、類はいつものように優しく微笑んでくれる。
そして、自然と類の隣に腰掛けると、直ぐさま旅行バッグを空いたスペースに移動してくれた。
何気ない彼の気遣いがとても嬉しく感じ、自然と顔が綻んでくる。
「それじゃあ、駅までレッツラゴ~☆」
苺ちゃんが言った後、車は駅の方へ向かって走り出す。
走行中の車の中、真っ先に口を開いたのは類の方だった。
「一時は本当どうなるかと思ったよ」
「えっ?」
「全面的に僕が悪いんだけどね。このまま口聞いてくれなかったら、本当にどうしようかと不安だった」
確かに気まずいまま、旅行をするのは結構キツイものがあるよね。
一昨日は、全く口を聞かないまま帰っちゃったし……昨日類が動いてくれなかったら、一方的にあたしが変な意地を張ってたのかもしれない。
あたしって、こういう時に限って素直になれない性格だからなぁ……
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