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「宮本君っ」
少し離れた所から名前を呼ぶと、宮本君は弾かれたように顔を上げ、あたしの方を見る。
「オッス、未琴ちゃん。どうしたんだ?まだルーイは来てないのか?」
「類なら車で待ってるよ。あたしは車の中で宮本君を見付けたから、案内しに来た」
宮本君は本当に類が乗っている車に気付いてない様子だったので、駅前で待ちぼうけさせておくのは可哀相だと思った。
あたしが迎えに来て良かった……かな?
何故かふと浮かんできた疑問符に頭を傾げていると、宮本君は苦笑いを浮かべているように見えた。
「あー、今頃ルーイの奴、車ん中から俺ら見てヤキモキしてんだろうな」
「ヤキモキって?」
ちらりと車の方へと目を向けてみるが、少し離れた距離だったのか、中の様子までは見ることが出来なかった。
そういえば、車を降りる時に何か言いかけてたような気がする。
全く聞いてなかったせいか、内容までは分からないが……
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