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オレの朝は一杯のコーヒーから始まる。
黒々とした液体を流し込めば胃がその苦さで満たされて目が覚める。
そんな生活してるといつか死ぬぞ、と同僚に言われたことがあるが、人間たかがコーヒーの飲み過ぎで死ぬことはなかろう。
そんな人間いたらお目にかかりたいくらいだ。
そして通勤、職員室の前にはいつものようにヤツがいる。
長い髪をなびかせて、後ろで腕を組んで壁にもたれ掛かり、いつものことようにオレを待ち構えている。
待ち伏せされることなどこの学校にきてはじめてだ。
普通そんな生徒いない。
「あ! センセ!」
オレに気付くと犬みたいに寄ってくる。
だいぶ低い背丈を伸ばして見上げてくる姿は最初初めてみたときには、少しばかりかわいいと思ってみたりしたこともあったのだが、そのあとのヤツのふざけたセリフに一掃された。
「好きです! 付き合ってください」
お前はオレの教職剥奪させる気か、なんて思った。
多少なりと可愛らしい容姿をしているんだから男くらいオレじゃなくてもいいだろう、と言えば、『やだぁ、かわいいだなんて。浅井先生にそんなこと言われるとは思ってもみなかったわ』だとか『そんなこと言わなくてもあたしは浅井先生だけのものよ』なんて語尾にハートマークが付きそうな声音で言うもんだから恐ろしい。

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