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「龍牙ぁー!!てめぇ、ふざけんなよー!!!」
「うわーオトコ女が怒ったー!」
あたしのことをオトコ女って呼ぶ奴はコイツしかいない。
逃げる龍牙を追いかけようとすると、優に止められた。
「ちょっと亜子やめなって!」
「だって……あれ?」
龍牙が逃げていった方を見たら、龍牙は居なくなっていた。
「くっそ、逃げられた。」
「いーじゃん学校でボコれば。」
学校でって、まだ登校日まで3週間あるんだけど……。
まんまと優に丸め込まれた。
「今はお祭り楽しも!」
「……そうだねっ。」
今日のところは見逃してやるか。
「あっ、ねぇ亜子!りんご飴食べようよー。」
優があたしの腕をグイグイ引っ張ってくる。
ごめん、あたしゃ痛いよ優。
「うん、いいよ。んじゃ、あたしのも買ってきてくんない?」
「やったー!いいよっ!」
あたしやっぱり優の笑顔には勝てないわ。
何その爽やかスマイル。
その顔のままで、りんご飴を買いに行く優。
「りんご飴2つくださーい!」
「はいよー。」
りんご飴売ってる人、若いなー。結構イケメンじゃん。あたしらと同じくらいかな?
あれ?なんか顔赤くなってる。
「ありがとーございまーす!」
あぁ、なるほど。
優の笑顔にやられちゃったのね。
「あ、ねぇ!」
「はい?」
りんご飴売りの人があたしの方に来る優を呼び止めた。
振り返った優は、りんご飴をくわえている。
「花火が始まる前の時間にさぁ、またココに来てくんない?」
「え?なんでですか?」
優はペロッとりんご飴を舐めた。
その姿は子供みたいで、すっごく可愛かった。
「いいから、ねっ?お願いっ!」
りんご飴売りの人が両手を合わせている。
あたしは困ってる優に「オッケーしちゃいなよっ」と囁いた。
「……わかりました。」
「やりぃっ!待ってるからー」
りんご飴売りの人はそう言うと、次の人の注文を聞き始めた。
さて、あたしは1人で花火を見なきゃね。
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