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夜8時、ついに花火が始まる時間になっちゃった。
「そういえば私行かなきゃいけないんだった!ごめんね亜子。」
優が両手を合わせて謝ってきた。
可愛いんだから~、もうっ。
「いいよいいよー。その代わり、思いっきり楽しんできなよー!」
「うんっ!」
羨ましいわいコノヤローめ。
そんな思いで走っていく優の背中を見つめるあたし。
大勢の中に1人でいるのは悲しいよね。周りの人の視線も刺さってきそうだし。
「どっか静かな所ないかな……」
そんな事を呟いたら、あたしの後ろの方で、ドーンという音が一発だけ空に響いた。
始まっちゃったみたい。
優はあの人と見てんのかな……。
あたしってばさ、なんでオッケーしちゃえとか言ったんだろ。
本当バカだよね。どアホ。
「あ、ココ静かで良いかも。」
自分をけなしてたら良い場所発見しちゃった。
花火は結構見えるし、人は1人も居ないし、何より涼しいし。
花火終わるまでココに居よっと。
「気持ちいいーっ。」
あたしはゴロンと横になる。
芝生がさわさわして心地良いな。
真上に花火が上がったと思ったら少し遅れてドーンという音がやって来た。
「優……楽しんでるかな……」
そう呟いた直後だった。
あたしの後ろの方から聞き覚えのある声が聞こえたのは。
「誰かいるのー?」
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