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始まりから幾星霜。
限りない実験の末、神は作り上げた。
自分の全力を用いて作り上げた自分と同等の力を持つ存在を。
けれど作り出すのに使った力を取り戻すまでに、三百と六十五回明るくなって、三百と六十四回暗くなった。
恐かった。
自分と同じだけの力を持つ者が。
万全を期して、神はその者がいる森へと向かった。
足を使って歩く。
自分が作り出した〝土〝と言う名のものの上を。
〝星〝の中にはたくさんの仕組みを作った。
空を舞う〝鳥〝も。
〝草〝を食む〝虫〝も。
けれどそれも実験の過程で必要だったもの。
今は必要ない。
必要なのは自分を満たしてくれる物。
実験の成功例。
それが、この先に──。
不思議な、抑えられない衝動をそのままに茂みを抜けた先。
そこにいたのは白い布を纏う自分と同じようなけれど、自分よりも小さな、〝鳥〝や〝獣〝と戯れる者だった。
その者は神に気付くと、口を開いてこう言った。
「ふふっ、あなたも…遊びますか?」
ある意味では、それが本当の始まりだった。
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