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じりじりとした熱を差し入れた足に当てられ、ほっこりと身体が暖まってゆくのを感じながら手に持つものをぱくりと食べる。
どろりと端から溶け出すそれを追い駆ける様に舌を這わせ、唇についた液体を舌で舐め取れば、目の前で一連の動作を見つめていた男が呆れたような、そんな溜め息を吐いた。
「な、なんだよ」
「こたつに入ってアイス食べるって君、おかしくないですか」
「そう?美味しいよ」
「そんなことを聞いてるんじゃありません」
ぴしゃり、と叱る様な声音に思わず身体が竦む。
その間も俺の手に持つアイスは溶けていくもんだから話しながら食べる形になってしまうのだけれど。
口の中はひんやりと冷えた空気が篭り、吐息を洩らせばそれが室温で暖められ唇がほんのり湿り気を帯びる。
矛盾している俺の行動が余程気に入らないのか、先ほど突然訪問してきてはこたつに入り込んだ骸はムスっとした表情をしながら俺を見つめている。いや、睨んでるのかもしれないけど。
骸は勿論アイスなんかいらないだろうから蜜柑とかせんべいとか、それと温かいお茶を出してあげたんだけど、それにも一切手をつけない。
元々人からの親切を素直に受け取るような奴じゃないから期待はしていなかったけど。
「お前、何しに来たの?」
もご、とアイスを口に含みながら問いかける。
その言葉にぴくりと反応した骸はむすくれていた表情から一変し、にこやかな笑みを浮かべて。
ぞくり。
(アイスのせい?…なんか、寒気が)
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