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青々としていた空も橙色に染まり、街灯が付くか付かないかとギリギリの時刻。
いつも通りに俺は学校を終え家に帰ろうと門を潜れば突然何者かに腕を引かれ抱き締められた。
一瞬の事で俺は声を上げる事も対した抵抗をすることも出来ず。少しの間を空けてから俺は漸く我に返り、誰だお前はと怒鳴り散らしてやろうと思ったら。
俺の耳元で小さく囁かれた独特な笑い声。
馴染んだ雰囲気に、朝も感じたこの温もり。
俺は嫌味ったらしく溜め息を吐き、精一杯首を後ろに向けそこに居るであろう南国果実、もとい俺の恋人を睨み付けた。
「お疲れ様です、綱吉くん」
俺の好きな物腰柔らかな笑顔と、甘く鼓膜を揺らすテノールボイス。
それに反応しぶる、と俺の身体が無意識に揺れたのを骸は見逃さずクスリと妖しく笑みを浮かべた。
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