月が綺麗だから

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大人になったもんだと、楓を翻弄しながら思う。 もう離せと、腕を突っ張る楓を離したくないとおもいながらも仕方無しに離す。 「いきなりだな……」 「そうか?」 ぐっと押し倒しそうになるのを押さえて、それをごまかすように、手を離した。 どうせ明日からは伊崎楓となる。急がなくとも十分自身色に染められる。 焦ることはない。 「何考えてるんだ?」 「いいや。さてそろそろ寝るか……明日は早いからな」 楓を立ち上がらせようと持ち上げる。 「なぁ、将、何か勘違いしてないか?」 その手を制して、楓はこちらを振り向いた。 「別にいいんだぞ?」 別に色気のある言葉じゃない。だが……。
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