始まり始まり

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「一ヶ月前、寮の部屋割りを決めていたときや…」 「いきなり過去話!?」 「中等部の時の交友関係、学力、運動能力、それが最高のバランスで相部屋になり、かつ寮に均等に配分されるように、わいは書類を見ておった」 「そこまで考えて部屋を決めているんですか!?」 「全ての書類を吟味し、入れ替え、我ながら最高の部屋割りが完成したと思うた」 「は、はぁ……」 「でもな……見落としがあったんよ」 「…………まさか」 「そう。キミと菫ちゃん」 「あなたのミスじゃないですか!!!」 驚愕の事実が発覚した。 「いやね。あまりにもあんさん普通すぎてな。どこに入れようか迷っているうちにみんな埋まってもうたんよ」 「自分の凡庸さが今更になって仇になった!?」 「菫ちゃんは菫ちゃんで誰とも組ませられへんし…」 「え? 中等部のときに相部屋だった子は?」 「親の都合で海外に行ってもうたんよ」 「はあ…」 「改めて候補を探しても、誰ともマッチする人がおらんかったし……」 「それはちょっと判る気がします」 あの性格だ。相部屋だった人に敬意を表したいとすら思う。
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