始まり始まり

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「はう……」 ねくらんは視線を戻し、管理人さんの方を見た。管理人さんは笑顔で頷いた。 何に頷いたのかは分からん。女同士で感じ合うものがあったのかも知れない。 やがて、ねくらんは口を開いて、こう言った。 「私は……できると思い…ます……」 「ええっ!?」 「な~んや。それなら何の問題もないやん。ほな頑張ってな! 荷物はもう部屋に入れてあるで」 すごく嬉しそうに、管理人さんはそのまま管理人室に戻っていってしまった。 「な、なんで!? どうして!?」 「あぅ……」 理由が分からず詰め寄ると、ねくらんは怯えたように数歩下がってしまった。 「あっと、悪い。ちょっと頭に血が上っちまった」 大きく深呼吸。よし、落ち着いた。 「改めて聞くけど、なんで大丈夫だと思ったの? 俺と……えーと……相部屋を」 一瞬「同棲」と言おうとしてしまったが、寮は寮なので「相部屋」と言った。 ねくらんはしばらく黙っていたが、ぽつぽつと喋りはじめた。
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