普通の少年と根暗少女

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新学期も始まり、身も心も一新した俺は新しく入る高等部寮に胸を踊らせていた。 この学園は学校ごとに寮がある。 家が近い人は自宅に帰る事もできるみたいだけど、あいにく電車で片道3時間の通学路をもつので、当然のごとく俺は寮住まいだ。 やけに子煩悩な親が入学の際に号泣し、お盆と正月には絶対に帰省するよう言われているが、その程度。 中等部から高等部に進学したので、寮も高等部の寮になったのだ。 中等部のと比べて色々グレードアップしているようだから楽しみである。 そんな俺が、そろそろ高等部大通りから寮に分岐する道に差し掛かったところ、 「……ん?」 下校途中の生徒で賑わう中、前方をのこのこ歩いている人影が目に入った。 「あいつは……ねくらんか」 後ろ姿で分かるそのオーラ。一人だけ負のオーラびんびんだ。 それなのに人目につかないように気配を消しているからすごい。
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