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~side菫~
なんでそう言ったのかはよく分からない。
真司君の声が遠ざかっていき、視界が黒く塗りつぶされる中、思考だけが淡々となされる。
普通なら何も感じないはずの言葉で目を回してしまうなんて、私はどうしてしまったのかな。
真司君が出て行きそうになった時、私の中で何かが音をたてた。
信じないはずなのに
信じたら、いけないのに
――置いていかないで
今は一方的に寄りかかっているだけ。その間には、何も無い。
真司君
あなたは、その間を、満たしてくれますか?
大きな優しい手に触れられた胸が、まだちょっぴり熱かった。
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