30476人が本棚に入れています
本棚に追加
/472ページ
整理も粗方終わり、俺がリビングへ行こうかと思ったとき、
「えっと、できました」
ねくらんの方からお呼び出しが来た。
「丁度こっちも終わったところだ」
「えう。あ、ありがとうございました」
「助け合いって言っただろ? それなら俺も、夕食を作ってくださりありがとうございます」
「あうう……」
頭を下げた俺の前で、どうすればいいか分からずにオロオロするねくらん。
「ま、慣れていけばいいさ」
「あうっ」
なんとなく頭をポンポン叩くと、ねくらんは困った声を出して固まってしまった。
ねくらんの復活を待って、リビングへ行った俺が見たものは――
ここでは多くは語るまい。
とにかく、ねくらんは何にしても「要領が悪い」こと、ハンバーグをライスで食べながら麻婆豆腐の辛さを濃い目の味噌汁で和らげたこと、買出し量の大幅増加を決定したことを、ここに挙げておこう。
慣れていけばいいさ。
ねくらんに言ったその言葉が、そのまま自分に返ってきた。
明日から学校が始まる。どうなるかなんて予想はできない。
ただ、ずっと賑やかにはなるだろう。それは確信できた。
最初のコメントを投稿しよう!