普通の少年と根暗少女

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「大丈夫か?」 「……ふぇ?」 まさか声をかける人間がいたのかと言わんばかりの疑問符を浮かべられた。 「ふあ……富潟君…」 「立てるか? ほら」 そう言って手を差し伸べる。 「……………………」 しばらくねくらんは、差し出された右手を眺めていた。 そしてそれが自分を起こすために差し伸べられているということに気付くと、 「あぅ…」 オロオロとしだした。どうやら今まで一度もそんなことをやられたことがなかったようで、判断に困っているらしい。 そんな小動物っぽい反応に少し微笑ましさを感じた。 なんだ。ねくらんも女の子なんだな。 見方によっては失礼な言葉だが、初等部4年からこうして高等部に進級した今まで、彼女が女の子ということをあまり意識したことがなかったから仕方がない。
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