中年風乙女男子高校生

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中年風乙女男子高校生

季節は夏。九月のはじめ。 夏休み明けのテストが 終わった頃。 四時間目、体育。 僕はたるんだお腹を 上下にタプンタプンさせながら、 校庭を友人と同じ速度で 共に走っていた。 「おい、おやじ。 お前その肉なんとか すりゃあよお、もっと 速くなるんじゃねかあ?」 「僕の肉は加速装置なんだよ。 しかも三段階」 「加速装置は奥歯に 置いておけえ!」 語尾を異様に強調する 喋り方な「だいき」は、 僕の肉を侮辱した。 ちなみに、僕のあだ名は 「おやじ」だ。 そりゃもうね、 この腹だし。 カーネルサンダースの 弟子みたいな腹だし。 顔が老けてるし。 ……自分じゃ言えないけど、 落ち着いてるし 割と相談事とかされるし。 まあなんだ。 頼れる中年風男子高校生 というのが僕の立ち位置だ。 「そうそう。 話変わるけどお、 噂じゃあ近日中に 転校生が来るって話しだぜえ? なんかまさるの 知り合いらしいけどお。 しかも女の子だってよお。 可愛いと良いよなあ?」 「へえ」 前世で女の子だった僕に、 女の子に興味は無い、なんて。 そんな事は言えなかった。
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