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「それで……どうするんですか?」
ランドの後ろから一人の男が話しかける。
「そりゃあ、こんな所に一人で置いておく訳にはいかないだろう」
少年の目の前に立つランド、そしてその後ろにいる数人の男たちは揃って緊張した表情を浮かべる。
唯一の生存者、しかし服に付いた血痕を見ればその意味合いは変わってくる。
彼らの中には少年がたった一人で此処にいた人間を殺したのか、という疑問が広がっていた。
それは何と言おうと血痕の付き方がおかしいからだ。
大人に比べたら遥かに小さい体、その至る所というよりは胴から下の方に集中して付着している。
まるで平伏す者を虐殺したかのように、その奇妙さに彼らは恐れを抱いていた。
「ったく、こんなに汚れやがって」
その中で唯一、ランドだけが動いた。
彼は少年に近づくと、その両の手のひらで優しく少年の顔を包むように挟んだ。
「とにかく、今は……眠れ」
そしてランドが呟くと、少年は糸の切れた操り人形のよう体の力を無くして意識を失った。
「よし、帰るぞ」
その少年を背中に乗せながらランド達はその屋敷を後にした。
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