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「はぁー……」
椅子の背もたれにダラリと体重を乗せて座りながら、ランドは上を向いて盛大なため息をついていた。
「ランドさん、今大丈夫かい?」
そこへ一人の男がノックをしながら、中の様子を見るように扉を少し開けた。
「ノームか、どうした?」
「いやね……って、どうしたんだい?随分疲れた顔をして」
そう言って入ってきたのはノームという男で、ランド盗賊団設立当初からのメンバーの一人である。
優れた剣技を持ち、盗賊団の切り込み隊長として幹部と、ランドの数少ない友人の一人を務めている。
「あいつが明日家へ帰せと言うんだよ」
そんな彼が自分の向かいの椅子に座るのを確認すると、ランドは寝ている少年の方を顎で指す。
「あぁ、それで悩んでたのかい。あんたは昔からお人好しだからな」
他人事のように笑うノームにランドは再び頭を抱える。
「まぁどうにかするさ。それよりどうした?何か用があったから来たんだろ」
しかしすぐに頭の中で切り替えたランドの言葉に、ノームは急に真面目な顔になった。
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