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「とりあえずいつも通り処分は完了した。当然、誰にも見られちゃいない。ただ……」
そこまで言うと、ノームは机の上で組んでいた手を解いて、どこからか冊子のような紙の束を取り出した。
「……これを見てくれるかい」
そしてそれをそのままランドに手渡す。
「何だ、いつもの資料じゃ……」
ランドはその冊子を受け取ると適当に上からパラパラと捲っていたが、あるページでその動きを止めた。
「さすがはランドさん、もう気付いたかい。見て分かる通り、人はどうやら踏み入れてはいけない領域に、足を踏み入れたようだ」
全てを理解したランドはノームの言葉に対して、言葉を続ける事ができなかった。
「そして俺達はいつの間にか手札にjokerを招いてようだねい」
しかし次の一言でランドは先ほどまでと同じように、両手をダラリと垂らして椅子の背に体重を預け上を向いた。
「ったく、本当に厄介なもん盗んじまったな」
そしてノームの目の前で盛大なため息を吐いた。
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