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「よぉ、目が覚めたか?」
一人の男が木製のイスに持たれながら両足を机の上に乗せて、懐刀のような小さな剣の手入れをしている。
「よいしょっ、と」
そうして剣の手入れを終えた男はイスから少し離れた寝床へと移動する。
「まぁ今起きてもまだ深夜だ。もっかい寝とけ」
そう言うと彼は目の前の寝床で体を起こして、まだ半分寝ぼけている少年の頭をクシャクシャと撫でた。
「おじさん……誰?」
頭を揺らされて目が覚めたのか、少年はいつもと違う周りをキョロキョロと見て戸惑っていた。
「おじさんじゃないお兄さんだ!……って、お前何も覚えていないのか?」
しかし少年の言葉に今度は男が戸惑ったように指で頬をかいていた。
「うん、何でこんな小汚い所にいるのか分からない」
本当に何も分からないように頭を抱える少年を見て、男はため息をつきながらさっきまで座っていたイスまで戻る。
「まったく……本当、やっかいなもん盗んじまったな。しかもだいぶ根性が据わってやがる」
男の呟いた言葉は少年の耳には入らず彼が頭を傾げていると、彼は少年を自分の近くに呼んだ。
「よく聞け、というより思い出せよ。お前が何故俺の……このランド盗賊団のアジトにいるのかな」
そして少年が自分の向かい側に座った事を確認すると男――ランドは少しずつ話し始めた。
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