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「う、嘘じゃねーよ」
少年の冷めた視線から逃げるようにランドは入れたばかりの珈琲を一気に飲む。
「熱っ!」
「……ふーん」
それすらも冷めた様子で見つめる少年。
「何だよ、今のは笑っても良いところだぞ?」
むせながらも少年に顔を向けるランド。
「え、どこが面白かったの?」
そのランドに笑顔を向ける少年だったが、不意に立ち上がり寝床へと歩いて行った。
「とりあえず明日家に帰してね」
そう言って毛布にくるまりランドのいる方とは反対を向いて、少年はもう喋らなくなってしまった。
「お、おい、ちょっと待てよ」
そこへランドは慌てて駆け寄り少年の顔を覗き込むが、少年は寝息を立てて完璧に寝ていた。
「ったく、どうすれば良いんだよ」
その様子を見てランドは少年の前で立ち尽くす。
「もう家が無いってのによ」
そう言ったランドは解決策の無いまま夜明けを待つしかなかった。
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