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世界は認識で変わる。
緩やかに壊れていく世界を見つめて、僕はその言葉の意味を知った。
あなたに、もう触れる事の出来ない世界。
あなたを失った世界は簡単に色を失った。幾つかの感情を道連れに。
灰色の世界は思った以上に味気ないものだ。酔いは頭を麻痺させる事もなく、幾つものバーで僕は味のしない飲み物を飲み続けた。
それ以外にすべき事を知らなかった。せめて世界が角を失って、その中で思考を溺れさせることが出来ればなんて願っていた。
それは死を願う事に他ならない。まともに生きる限りに捕らわれる、あなたを忘れないために。
まともな世界の外に、あなたを見つけるために。
アルコールは足りない。
そんな時に君に出会ったんだ。壊れかけたおもちゃが好きだと言って、僕と重なった。身体だけを繋いで、それが素敵だと笑う。
朝焼けよりも、夕暮れを美しいと思うと笑ってたんだ。
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