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鏡の前に立ち見慣れない自分の姿と睨めっこをしていると不意に扉をノックされる音と要の声が聞こえてきた。
未緒は返事の代わりに静かに扉を開け、部屋の外へと出る。
扉の前には先程と同じような微笑みを浮かべた要が立っていた。
「お待たせ致しました、少々時間が掛かってしまいお迎えに参るのが遅くなってしまいました、申し訳ございません」
「別に、たいして待って、ない」
深く頭を下げる要に対し、未緒は滅多に開かない口を動かし頭を上げさせる。
再び顔を上げ未緒と対面する要は、未緒の服装を見るなりにっこりと再び微笑みをみせた。
「ありがとうございます。それと未緒様、そのお洋服とてもよく似合ってございますよ。サイズの方は大丈夫でしたか?」
「いや、問題ない」
「さようでございますか、それは良かった。旦那様から未緒様のことを聞き、急遽ご用意したものでしたので多少心配がありましたが、お気に召していただけたら幸いです」
要は安心したように目を細めると、皆が集まっている応接室まで案内すると言う。
「それでは参りましょうか」
未緒は黙ってそれに頷き、要の後に続くかのようにして応接室へと向かった。
応接室に着くまでの間、要は屋敷内の説明やこれから会おうとしている東宮寺家の家族の話を未緒に話した。
その間、未緒は要の話に耳を傾けつつ、歩く先々で目に入る名画や作品の数々に目を向ける。
今までずっと塔の中で過ごしていた未緒にとって、本邸内に入るのは初めてのことだった。
自分がいた塔の内装すらよく知ってはいなかったが、恐らく西園寺家の屋敷も造りは違えども、同じように名画や作品が飾られているのだろうと、そんなことを心のどこかで考えていた。
不意に立派な装飾が施された大きな扉の前で要は足を止める。
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