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「あ、ユウ兄、おはよう!」
「おはよう…って遥斗、学校ではお前にとって僕は教師だといつも言っているだろうが」
つい反射的に返事をしてしまった優一は慌てて訂正するが、その様子を遥斗は楽しんでいるようだった。
「ったく…」
「おはようございます、優一先生」
「はい、おはようございます。蒼井くん、未緒さん」
「お、はようございます、優一兄…先生」
「ハハ、まだ言いにくそうですね。まあ、少しずつ慣れていけばいいですよ」
「はあ…」
「何だよ、ユウ兄。俺の時とは随分違うじゃん」
「お前は何年、一緒だと思ってるんだ。それを思えば当たり前だ」
「アハハ、言えてる!」
何気ない会話で盛り上がる遥斗達。
その後、各自の教室に戻った未緒達はこの日一日の学校生活をスタートさせた。
「――この時、この式にXを代入し…ー」
午前中の授業を無事に受け、昼休みを挟んだ後の午後の最初の授業。
未緒は呆然と数学の授業を聞いていた。
お腹が満たされているせいもあるのか、教室の窓から入り込む心地良い風がクラスの大半に眠気を注ぎ、両手を広げて夢の中へと招待する。
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