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「さあ、解きたまえ」
「……」
チョークを差し出し、あからさまに嫌みの笑みをみせる羽鳥に未緒は渋々席を立ち、チョークを受け取る。
「はぁ…」
問題と向き合う未緒は思わず小さく溜め息をつきながら、羽鳥に用意された贈り物を一つ一つ頭の中で組み立てていく。
そんなこととも知らずに、一向にチョークを動かそうとしない未緒に羽鳥は更に勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「どうした? 授業を聞いていなくて解けないか? 全く、私の授業をちゃんと聞いていればこんな問題なんて簡単に…ー」
「出来ました」
「何ッ!?」
勝ったも同然という態度で羽鳥が話している間に、黒板に全ての答えを導き出した未緒は手についたチョークを払いながら羽鳥に声をかける。
そんな羽鳥は思いもよらぬ返事に信じられない様子で瞬時に黒板の方に食いかかる。
一つ一つ慎重に解答に目を通していくうちに羽鳥の顔に徐々に青ざめていき、それと同時に悔しさも露わにしていった。
「…せ、正解だ。席に、戻れっ…」
「はい」
必死にその悔しみを隠そうとする羽鳥の引きつった表情を横目に、未緒は言われるがまま自分の席に戻る。
その間、クラスの中には小さな笑いが零れ、未緒自身も少しばかりの優越感を感じていた。
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