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「さて、未緒くん。早速だが君に私の家族を紹介しよう」
東宮寺氏は自慢の家族を紹介するかのように顔には笑みが広がり、左から順に紹介し始めた。
「向かって左から長男の優一(ゆういち)」
「初めまして、未緒さん。あなたが来るのを心待ちしていました」
短い黒髪の優一と呼ばれる男性は、すっとソファーから立ち上がり軽く頭を下げると、優しい笑みを浮かべて未緒を迎えた。
未緒自身座っているせいもあるのか優一の身長は高く、軽く見下ろされている感覚を覚えるが、そこから見える深く黒に近い茶色の瞳はどこか優しげで温和そうなイメージが持てた。
「初め、まして」
「優一は我が東宮寺家が建立、理事を務める東宮寺学園の高校教師をしている。まあ、そのせいもあるのか家族内でも時折敬語を使う面があってね、その辺はどうか理解してあげてくれ」
「すみません…」
「なに、気にすることはない。それ程仕事に熱心なんだってことだよ」
東宮寺氏は申し訳なさそうに頭を下げる優一の肩を持ち優しくフォローした。
「さて、その優一の隣に座っているのが次男の…ー」
「颯次(そうじ)です! よろしくね! 俺、妹が出来るって聞いてずっと楽しみにしてたんだ!」
父親の紹介より先に名前を明かした颯次という男性は、ソファーから立ち上がるなり未緒の手を掴んで喜びのあまりか目を輝かせながら手をブンブン振った。
颯次の髪色は優一とは違って金髪に近い色を帯びていて、間近で見る瞳は心持ち透き通るような青色をしていた。
「颯次、スキンシップもいいが程々にしなさい? 未緒くんが気後れしている。颯次は大学生で、この通りちょっとばかり大学生に見えないところがあってね」
「ええー、父さんそれじゃ俺が子どもみたいじゃないか!」
「何を言う、私からしてみれば、お前はまだ十分子どもだよ」
頬を膨らませながらふてくされる颯次は、その行為がまさに子どもっぽいことを表していることに気づいておらず、ガシガシ自分の頭を撫でる父親を軽く睨み付けていた。
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