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「だって父さんが止めるより、優一の方が二人の扱いが上手いじゃないか! そうそう、遥斗は未緒くんと同じ十七歳なんだ、色々あるとは思うが仲良くしてやってくれ」
「はあ……」
あからさまに仲良くしようと思っていない態度を取る遥斗の頭をガシガシ撫でながら言う東宮寺氏の言葉に、未緒は曖昧に頷くしかなかった。
「それで遥斗の隣にいるのが末っ子の瞬(しゅん)だ」
「…よろしく」
他の兄弟と違って大人しめで、どこかまだ幼さが残る瞬と呼ばれる少年は、綺麗な茶色の瞳を向けながら少しオドオドした様子で挨拶をする。
「瞬は中学生で、少し人見知りがあってね。でも慣れてくれば、この兄弟の中で一番落ち着きのある子だよ」
東宮寺氏は優しそうな笑みを浮かべて瞬の頭を撫でてやると、瞬は少し気持ちが楽になったのか小さく微笑みを浮かべた。
「それから私達のもう一人の家族、この家の執事を務める御堂要(みどう かなめ)くんだ」
自分達の後ろに立っていた要は東宮寺氏の紹介に頭を下げるが、家族と言われても分を弁えていた。
「旦那様、私には誠に勿体無いお言葉でございます」
「何を言う、君はよくやってくれている。家族同然の存在だよ! 彼は私達の身の回りのサポートをしてくれる。もし生活上で何か困った事があったら彼に聞いたらいい」
「はい…」
「何なりとお申し付け下さいませ、未緒様」
要はにっこりと笑みを浮かべながら一礼する。
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