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「そして最後に残った私が、この子達の父親であり、東宮寺家の主でもある東宮寺 健吾(けんご)だあ!」
東宮寺氏、健吾はワハハ、と大袈裟過ぎるほどの豪快さで笑い出した。
「……」
「と、父さん、笑いすぎですよ、未緒さんも引いてます」
それを見かねた優一は苦笑いを浮かべながら大口を開けて笑う健吾を止めに入る。
「えっ、あ…すまん、つい…」
健吾は頭を掻き、気を取り直すためかゴホンッ、とわざとらしく咳払いをすると、未緒の肩に手を置いた。
「さて、もう分かっているとは思うが、この子が今日から東宮寺家の子としてこの家に暮らすことになった」
「未緒くんはずっと屋敷内にいたため知らないことが多いと思う、みんな仲良く頼むぞ」
健吾の言葉に皆が同意する中、遥斗はこれ以上付き合いきれないと言わんばかりに席を立ち始める。
「けっ、やってられっか、誰がそんな箱入り娘みたいな奴なんかと仲良くするかよ」
「は、遥斗! お前またッ…―」
「颯次、食いかかるのは止めろ! 遥斗、お前もいい加減にしないか」
再び喧嘩になりそうな空気が流れ出したのをいち早く止めに入った優一は近寄る二人の間を離す。
「チッ…」
苛立ちを散らすように舌打ちをする遥斗は不意に未緒の顔を見るなり、その苛立ちをぶつけてきた。
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