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何もない部屋に自分はいた。
家具という家具は一つもなく、部屋のランプも電池がないのか付けてもすぐに光を失う。
唯一、部屋の窓から入ってくる月明かりだけが、この何もない部屋に光をもたらす。
そんな薄暗く、何の物音もしない静寂に包まれた部屋に、自分は独り、部屋の隅で膝を抱えて座っている。
なぜ、こんなところにいるか?
そんなこと、知るものか。
物心ついた時から自分はここにいる。
唯一の外出は、父上からの命を受けた時のみ許されている。
それ以外はずっとこの部屋で一日を過ごし続ける。
やることなんて何もない。
ただ毎日、父上からの命を待つばかり。
それ以外自分には何も許されていない。
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